「サービス」についてのダイアローグ

対談


多屋光孫 M)継続は力なり。今日でサ行になったね。「去り際の美学」

濱中伸幸 N)ここで去ってしまったらダメだよ。ようやく「さ」

M)さ、、、災害、災難

N)なんてこった、、、さうじゃないでしょ!
もっといい言葉にしようよ! さ、、、最高の体験、最上級のおもてなし

M)最高の体験だと、またローカルの話題になりそう。
 『さる』動物の猿。本のタイトルでも「専門家の予測は猿にも劣る」、猿って馬鹿にしてるけど、意外 と知恵ものみたいなニュアンスもあるよね。

N)猿知恵。

M)それは浅はかって意味で使う言葉。動物の中では上やけど、所詮サルや!って。

N)猿でもわかるってタイトルもあるよね。

M)やっぱり馬鹿にしているよね。人間様の方が上やぞって感じ。あと意地悪とか、ずる賢いイメージ。昔話のさるかに合戦とか。

N)見ざる、聞かざる、言わざる

M)日光東照宮で祀られているよね。干支にもあるしね。

N)僕は申年。

M)猿ってちょっと小馬鹿にしているものもあるけど、中国の孫悟空は猿だよね。ワンピースの主人公もモンキーDルフィーだから孫悟空をオマージュしてるんじゃないかって。

N)あと、「サル山のボス」って表現もある。

M)井の中の蛙的な感じの表現。そう考えると少し憎たらしいって思うのかな、、、
猿じゃあんまり広がらないね。

N)唐突だけど「サービス残業」は?

M)「サービス」だけだったら広がるね。

N)今は「サビ残」とか略して言うらしいね。

M)フランシスコザビエルみたいやね。


サービス残業について言えば、僕ら会社を辞めた身としては、昼も夜もなく働きたい時が働く時みたいになってるからさ、残業っている概念はないよね。

N)サラリーマンを辞めてからは「サビ残」は無いなあ。

M)でもサービス精神が大事だよな。

N)これサービスしておきますって言うよね。

M)そういう意味では自ら望まない残業をサービス残業って皮肉っている。

N)労働者が資本家に対してサービスしているんだ。

M)サービスしたいわけじゃないんだけど。

N)それって構造的な問題で、昇格昇給したい身としてはやらざるを得ない空気がある。出世を望まない人が増えているって話を聞くと、同調圧力で一人だけ早く帰れないっていうのもある。

M)あと「リップサービス」って言葉もあるよね。
  サービスの語源「サーバント」を調べてみよう。
 「サーバントリーダーシップ」って言葉がある。

N)それって奴隷の番長になるってこと?

M)サーバントって元々下僕っていう意味なんかなあ。

N)つかえるってことでしょ。

M)召使い、使用人っていう意味やなあ。

N)ちょっと話それるけど、最近そういう新しいビジネス用語を耳にすると、思うことがある。従業員を雇わない一人社長として経営するようになって気づいたこと。今までサラリーマン時代に自ら勉強してきたことのほとんどは、いかに組織の中で役に立つ人間になるかに主眼を置いていたかってこと。色々なビジネス書はいかに支える立場の技量を磨くもの。例えば、戦略立案から戦術的な具体策の立案手法。組織の中での役割を全うするという枠組みの中での思考。
資本主義で言うところの資本家と労働者。株主に利益を供与するための株式会社の構成員としての役割でしかないからね。

M)社会主義だと、資本家と労働者の構造を否定したけど、上に立つ人たちが結局搾取している。そう言う構造になっているってことやね。

N)人間ってやはり上下関係を作りたかがる生き物なのかな。

M)人間だけじゃないよ、猿でもそうじゃない。

N)あっ、また猿!

M)強力なリーダーシップがないとみんなが生き残れない。そのリーダーが優れているかどうか。組織って、今の政治もそうだけど、おかしな方向に行く時がある。

N)この国の仕組みも、みんなが納税したお金で公務員さんたちが国民に支えるっていう建前になっている。

M)そうみんなの税金が公共サービスとして使われる。

N)今はあまりにも税金が高くなりすぎて、日本に納税したくない人は税率の低い国に脱出している。高い税を払うくらいなら日本のサービスを受けたくないと言う考え方だよね。

M)北欧のどこかの国は税率が高いけど、公共サービスがすごく充実して国民の満足度が高いって所もあるよね。

N)公共サービスから少し身近なサービスだと、色々なサービスがあるよね。
 接客サービス、価格のサービス、量のサービス、時間のサービス。

M)少し多めに入れときます!って店はサービス良いって感じる。

N)美味しい美味しいって食べてたいら、これちょっと食べてみて!って場面あったよね。

M)そういう時はとっても得した気分になる。

N)この夏に田辺の居酒屋で「磯もん」出てきて食べたよね。

M)浜で獲ってきたんやろね。

N)あと「サービス精神」って言葉もあるよね。

M)サービス精神旺盛って編集者に言われることがたまにあるけど、少し要素を絞って欲しいと言う意味で使われてる。

N)言葉のニュアンスが少し違うけど、「サービス精神旺盛」イコール「張りきりすぎ」的な意味も含まれる。そこまで求めていない、過剰感をやんわりと伝える言い方。


M)そうそう。損得勘定なしにやったことが、相手に伝わってない場合もあるかなあ。

N)コンサートでアンコールして2曲歌ってくれるとか嬉しい。

M)それでいれば、アンコールしてあげないと気の毒と思ってするアンコールもある。聴く側が気を遣う。アンコールされるのわかって出来レース的なパターンもある。


M)サービスも日本語で言えば「おもてなし」って言葉が当てはまるよね。
 オリンピックのプレゼンの滝川クリステル。


M)サービス付き高齢者住宅っていうのが検索で出てきた。介護医療と連携し高齢者の安心を支えるサービスを提供する住宅のことらしい。バリアフリー構造の住宅。こういうサービスが今求められているサービスなんだろうね。高齢化社会だから。
あと、日本サービス大賞っていうのもあるよ。

N)ヤクルトレディが賞を取ってたりしてるね。

M)ヤクルトはなぜ配達しているのだろう。

N)生きた乳酸菌を鮮度を保って届けているんでしょ。牛乳配達って昔あったなあ。

M)そういや牛乳配達も無くなってしまったね。

N)田辺に限らずどの地方も商店街がシャッター通りになってる。個人商店が成り立たなくなっている。

M)それで、一緒に行った群馬県高崎のような大手資本のチェーン店が軒並み並ぶような駅前になってしまう。

N)マクドナルド、スアタバ、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、吉野家、すき家、ミスタードーナツ、ケンタッキーフライドチキン。

M)ある一定規模の商圏には必ずあるよね。マクドナルドでいえば、ロシアがウクライナ戦争が始まってアメリカ資本の撤退があって、マクドナルドの代わりに「ワーニャおじさん」の店になっているんだけど、マクドナルドのロゴを横にした看板掲げてやっているみたい。アディダスがアディオスになったみたい(笑)

N)大資本じゃない個人商店で思い出したけど、昔、おばあさんが握ってくれる「おにぎり居酒屋」に行ったね。

M)行った行った!おにぎりでお酒を飲んだ。

N)ああゆうおばあさんが一人でやっている、おにぎりの店まだ東京になるのかなあ?

M)ないと思う。あのおばあちゃんはもういないだろうし、唯一無二の店だった。もし生きていたら120歳くらいになる。

N)ボロボロの木の引き戸を開けて入る店だった。

M)吉祥寺にあった。あの店こそおもてなしの店だったなあ。

N)ある意味全てサービス競争だよね。

M)浅田次郎の本で「母の待つ里」って本を読んだんだけど、ふるさとの原風景を訪ねて、偽の故郷と偽のお母さんのところに行く小説なんだけど、サービスで思い出した。

N)それってスナックのママさんを求めて毎日通っているおっさんと一緒じゃない。みんな寂しい。知っている人のいるところで飲みたい。独身時代は仕事帰りに大阪京橋の平八亭っていう居酒屋で鰹のたたきとビールでいっぱいやっていたんだけど、僕に取ってのサードプレイスだったなあ。心地良い空間。美味しい肴と冷えたビールで一息ついてから帰る。

M)サービスをする側の提供とは別に、サービスを受ける方が自分の価値観を満たすものを求めてサービスを受ける。
人それぞれ好むものが違うから、過剰なサービスと思ったり、サービスが悪いって思ったり。
その基準が価格だったり、味だったり、話を聞いてくれるママさんだったり、カウンターで偶然横に座るお客さんとのちょっとした会話だったり。
サービスって奥深い言葉だね。

サービスは提供する側が自ら提供していると認識している価値の範囲を超えて広がりをもつ。

サービスを受ける側がさまざまな価値基準でそのサービスを選んでいる。

これが今日の気づきです。
「たまごを使って作品を作ろう!」 絵画教室で子供たちと一緒に作った作品

多屋 光孫(たや みつひろ)絵本作家・挿絵画家。和歌山県田辺市出身。3歳より田辺市の洋画家、故益山英吾氏の洋画研究所で絵を学ぶ。実家は本屋(南方熊楠ゆかりの多屋孫書店)。2015年8月まで二十ん年、普通に会社員(海外営業・広告宣伝など)をやっていたが脱サラし画家活動を開始。一般社団法人 日本出版美術家連盟理事(事務局長)

濱中 伸幸(はまなか のぶゆき) ブランドクリエイター。和歌山県田辺市出身。実家は紳士服店。元百貨店婦人服バイヤー。2011年株式会社ハッピーアイ設立。エンカラージオンラインショップ企画運営。ファッション専門学校非常勤講師

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