「うそ」についてのダイアローグ

対談

多屋 光孫(たや みつひろ)絵本作家・挿絵画家。和歌山県田辺市出身。3歳より田辺市の洋画家、故益山英吾氏の洋画研究所で絵を学ぶ。実家は本屋(南方熊楠ゆかりの多屋孫書店)。2015年8月まで二十ん年、普通に会社員(海外営業・広告宣伝など)をやっていたが脱サラし画家活動を開始。一般社団法人 日本出版美術家連盟理事(事務局長)

濱中 伸幸(はまなか のぶゆき) ブランドクリエイター。和歌山県田辺市出身。実家は紳士服店。元百貨店婦人服バイヤー。2011年株式会社ハッピーアイ設立。エンカラージオンラインショップ企画運営。ファッション専門学校非常勤講師


M) 今回は「う」から始まる言葉。

N)前回のイマジネーションで「宇宙人」の話題になったけど、宇宙人っているのかなあ?

M)いるとは思うけど、色々な証言とか嘘くさいのが多いよね。あと、人類は本当に月に行ったのか?っ

てことも「行ってなかったんじゃないか」っていう話もあるよね。

N)子供の頃はN A S A のスペースシャトルの打ち上げ放送をよく見ていたなあ。宇宙って夢とロマン

があったね。まあ今もそうだけど。

M)そうそう、昔宇宙でも食べられる宇宙食ってやつの写真が歯磨き粉みたいやったなあ。

N) 油絵の具のでっかいチューブみたいなやつね。

M)それでも宇宙空間で食べるってなんだかワクワクしたなあ。

N)と言うことは今日は「宇宙」をテーマにしようか?

M)宇宙って、これもまた想像の世界になってしまうなあ。前回のイマジネーションとかぶってくる要素が大きいかな。

N)人それぞれの頭の中にあるイメージって。ある意味「虚構」の世界だから、「嘘(ウソ)」ってどう?

M)「嘘」って面白いかも!「U F O」じゃなくて「U S O」だね。

N)ウソから出たまこと。うそ八百。

M)自分は、しょっちゅう嘘ばっかりついてる。
絵画教室で子どもたちとの会話では
子ども「先生、年いくつ?」
私(真顔で)「20歳」
子ども「えっ。うちのママより若い」って感じ。
コミュニケーションの手段としては嘘も方便だよね。(この場合、方便とは言わないか?)

N)子供の頃、昨日の晩ご飯「ビフテキ」だったって仲良しに言われた時に、「ビフテキ」が分からず、とりあえず雰囲気で「すごいなー」って合わせてた。
違う友達が「テキ」食べたいなあって発言したら、もうついて行けず黙っていた。
なんやそれって思いながら、僕のうちは「鶏もも肉やった」って食べてもないのに嘘ついて対抗してたのを思い出した。

M)昔、東京に上京してきた時、焼肉定食を頼んだら「豚肉」が出てきた。関西で焼肉定食って言ったら牛肉やったからいきなり豚肉の焼肉が出てきた際は、「ウソーッ」と思った。
今は違うかもしれんけど、一昔前は、関東で「肉」といえば豚で関西で「肉」といえば牛だったらしい。
その名残で「肉まん」は、関東で普通に豚肉だが、関西で「肉まん」というと牛と間違えるので「豚まん」というのはその名残らしい。
そういえば、和歌山で食べていたイノシシは山鯨(ヤマクジラ)っていうよね。江戸時代、獣の肉を食べることが忌避感があったので、当時鯨は食べることが許されていた魚扱いだったクジラの名前を使ったみたいやね。(ちなみに「くじらやま」って紙芝居作ってます)

(くじらやまのリンク)

くじらやま (好評紙芝居) :多屋光孫
くじらやま 多屋光孫 むかしむかしのおおむかし、くじらは海じゃなくて、山にすんどった。さいしょ、くじらはからだが小さかったんやけど、山のおいしいものをどんどんたべて大きくなり、歩きまわれなくなってしまった。そんなある日、くじらがくしゃみをしたら山の木と動物の半分が吹き飛んで、おならをしたら、そのあまりのにおいに山の動物...

N)猪の肉の鍋は「ボタン鍋」。

M)馬の肉は「サクラ」。

N)なんか隠語みたいだね。なぜ馬の肉はサクラっているのかを調べたら諸説あるね。肉が桜色とか、佐倉って地名からきているとか、牛の肉と偽る「サクラ」は嘘の話題にピッタリだ。

M)新規開店の店にサクラを並ばせて、長い行列を演出する手法もあるけど、ある意味「嘘」やね。

N)嘘つきは泥棒の始まり。

M)使ってもいない商品を宣伝したタレントが炎上した事件っていっぱいある。
あと、昔の雑誌の怪しい広告。幸運を呼ぶペンダントとか、睡眠学習とか。今やギャグ。

雑誌の怪しい広告まとめ - 激バズ
昭和の時代によく見られたブレスレットや副業など雑誌の怪しい広告をまとめました。

N)人を騙すようなのは「あかん」

M)S N S とかメールからも嘘くさいメールいっぱいくる。世界中から700 万ドル受け取ってくださいみたいなメールがジャンジャン来る。

N)何が本当で何が嘘かを見抜く力がないと簡単に騙されてしまう。

M)オーソンウエルズのラジオ番組で視聴者が火星人が攻めてきたという話を信じてパニックになったこともあるくらいだから。(と思って調べ直したら、この話自体嘘でした💦)

ラジオ番組「宇宙戦争」がアメリカ全土をパニックに陥れたという話はメディアによって作られた
1938年にアメリカで放送されたラジオ番組「宇宙戦争」は、放送を聞いた人々が番組内で語られる火星人の襲来を事実だと思い込み、アメリカ全土でパニックを起こした伝説的な番組として伝えられています。しかし、実際には宇宙戦争がアメリカでパニックを引き起こした事実はなかったそうで、「現代まで伝えられる一連の話は新聞によって作られ...

N)そういえば、多屋さんが合コンで「僕のおじいさんはポルトガル人」って嘘ついて、みんなが信じて会話が進んでいくのを思い出した!

M)あれは、嘘というか「ネタ」やね。ちなみにおじいちゃんの名前は「ポルトヤマ・ヒロシ」

N)「会話のほとんど嘘って」って言ってたけど、まさに「フォクション」だ!

M)絵本もフィクションだし、「自分は、嘘をつくる仕事にたずさわっている」と言える。

N)嘘をフィクションと読み替えると、創作物って嘘の塊だね。フィクションとノンフィクションってカテゴリー分けがあるけれど、きっちり分けることも難しいね。

M)事実と虚構ってグラデーション状態だと言えるよ。

N)本物って概念も相対的なものだよね。「こんなの本物のラーメンじゃねー」なんてね。

M)嘘とは言わないけれど、小さいことを大きく表現したりするのって「話盛ってみた」なんて言うよね。

N)その内容を聞いた人がまた少し話を盛って伝えていくと、全く違ったものになったりするよね。

M)最初は些細な表現の脚色だったものが、だんだん本当の話として流通してしまうこともあるなあ。

人の噂ばなしを信じて伝言する人も多いよね。

N)何が本物かっていうと、お茶のメーカーのC M が人間そっくりのA I キャラクターになっているよ。

もはや人間に高いギャラを払わなくて良いってニュースになってた。

M)絵画の世界でもA I がレンブラントの新作描いたり。

人工知能が描いた「レンブラントの新作」
17世紀の画家、レンブラントの「新作」がオランダでつくられた。ディープラーニングで作品の特徴を分析し、3Dプリンターを使って“レンブラントらしさ”を再現。人工知能が、人間の才能と技術を模倣することに成功した。

N)すごい時代だね。

M)嘘か誠か、信じるか信じないかはあなた次第(BY 関暁夫)ってことだね。

N)この対話がA I によるものってバレないように祈ります。

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