濱中伸幸 N )今日は「く」、クリエイトっていいかなあと思ったんだけど、2人で話していると全てクリエイト=何かをつくるって会話がいつも出てくるから違う言葉が良いな。
多屋光孫 M )そうだね、いつも会社員時代の話とかが多いから、少し緩めの会話がいいよね。そう言う意味では、空気ってどう?
空気でいうとまどみちおさんがこんな詩を2つ書いている。
1つ目 https://ehon.furuhashi-kazuo.com/まど・みちおさんのふたつの「空気」−『くうき/
2つ目 https://blog.goo.ne.jp/aozoranokamichama/e/9ba04741b04215ae1893e6e40c86704e
結構、身近なテーマ?
N)空気を読むとか。空気を読まないとか。
M)空気がないと生きていけないしね。
N)小学校からの教育で、先生が「わかりましたか?」って聞いて、生徒が「はーい」って答えて次に進む授業パターンってあるじゃない。
なんかちょっと違うなあって思っていても、そこで手を挙げてみんなの注目を浴びるよりは「はーい」って言ってすます感覚。
そこで質問したりすると空気の読めないやつって思われてしまう。
M)自分のようなやつは、めんどくさいから、わかったふりしてつい流してしまい、後でどんどん取り残されていく。
N)テレビでは政治家が討論会をやっているけれど、学校教育でディベート的な授業って受けたことがないなあ。
グループワーク的に自分たちの班はどう言う考えかをまとめる形式はあったけれど、それも対立する意見を戦わせるのじゃなくて、意見を整合させる訓練的な感じ。
M)自分の意見を主張することを良しとしない風潮というか空気があるのかもしれない。
N)先生と生徒という関係って、上位者と下位者的な構造があって、上位者には従うという空気。
グループワークも班ごとのの意見を先生が吸い上げて、正解的な答えに導く。
M)マイケル・サンデルの講義のような正解のない問題をどのように考えるかってのはすごく新しいと思うけど、実際の日常生活で、「多屋さん意見あります?」って聞かれたら、「〇〇さんと同じで」って誰かと同じ意見であるところを表明しつつ、自分の意見を述べる。そう言うふうに踏襲する会話だと楽なんだよね。
N)〇〇さんのおっしゃったことに付け加えて、こう思います。
M)定番の形。
審査員とかやる機会が多いけど、権威のある人とか、自己主張の強い意見を言う人がいたら、それにみんなが流される瞬間がかある。
会社員時代の経験でも、上位者の意見を先に聞いてしまうと、全体感がその意見に賛同する空気になってしまったことはよくある話。
「空気を読む」って言葉は学生時代にはあまり聞いたことがなかった。
N)イザヤ・ベンダサンの「日本人とユダヤ人」にあったような気がする。
M)あっそれ読んだ。ユダヤ人は全員一致の意見は採用しない。
まだ内容覚えている。ちゃんと読んだの社会人になってからやけど。
イザヤ・ベンダサン=山本七平らしいね。
N)山本七平の「空気の研究」って本もある。
“調べたら「K Y=空気読めない」って言葉が流行った2006年ころかららしい。”空気を読むと同じような言葉で、「人の顔色をうかがう」もある。
M)あと、長いものには巻かれろ。二科展で大賞を取った時の絵のタイトルが「長いものには巻かれない」だったのを思い出した。
N)昔からそういう意識があったんだね。この画像って見たことある?
M)初めて見る。
N)学校で教材として使うのだけど、事実も切り取り方次第では正反対の内容になる。メディアを通じてしか世の中の情報が入ってこないけれど、この視点は必要。
長いものに巻かれないようにと抵抗している人が一番長いものに巻かれようとしている側だったりする。
長いものにはまかれない(1)2014年 多屋光孫 作
長いものにはまかれない( 2 )2014年 多屋光孫 作
N)争いの当事者と、それを眺めている側にいるのかってことは、立ち位置が違うというか共有している空気が違う。
M)街頭で演説している人に対して、通行人は全く反応しないのなんかをみると、同じ空気を共有していないよね。
N)テレビの漫才コンテストで、どの順番でネタをやるのかによって順位に影響するって話を聞く。
空気があったまっていないトップはしんどいとか、大ウケした後の組は自分の空気に持っていくのに苦労するとか。
目に見えない空気について話しているのだけれど、なんとなく解る。
M)それで言えば、カラオケ。めっちゃ盛り上げて爆笑をかっさらって歌った後に、「お前の後に歌う俺の身にもなってみろ!」って上司に怒られたことがある。
N)カラオケは密室やから、いろんな空気を感じるね。めっちゃ上手くてノリの良い歌の時は手拍子しているけど、歌も上手くなくて静かな曲だと自分の歌う曲を探したり、トイレに行ったり。自分が歌ってて、聞いてもらってないなあってわかるとスッと終了のボタンを押して終わらせる。
M)カラオケも空気やね。場の雰囲気。
N)日本人は虫の鳴き声もノイズに感じずに歌をして捉えるっていう能力があるからカラオケはシビアになりがちかも
M)歌で思い出したけど、パルナスのコマーシャル覚えてる?
N)幼少期の日曜日の朝の定番。甘いお菓子の〜
M)おとぎの国のロ〜シアの
N)ムーミンの放映時にやってたね。今思えば、ロシヤや北欧文化のテレビ番組が紀州の田舎の商店街の店の奥のテレビで流れていたのは、シュール。
M)ムーミンといえばフィンランド。原作者のトーべ・ヤンソンは日本の番組を見てあまりにも原作と違って怒ったらしいね。
N)僕らが見ていたテレビ番組は残念ながら、もう観ることができない。
M) 場の空気を変えるで思いついたのが、忌み嫌う言葉を発した時に、「縁起でもない」って怒られたこと。何か物事を案じているときに、ネガティブな言葉を言うと嫌われてしまう。
言霊という言葉があるように、言葉に物事を実現化させる力があるということを信じている人も多い。井沢元彦が歴史を「言霊信仰」についてよく言及するが、一理はあると思う。(なんでもかんでも言霊のせいにするのは強引だと思う時もあるが)
N)ネガティブな言葉には何かうまくいかない空気を作る力がある気はする。言霊信仰まではいかないけれど、極力マイナス言葉を言わないようにしているよ。
言葉で言えば、食べ物に「くそ美味い」なんて発言している人がいるけど、「くそ」ってそんな使い方して欲しくないよね。
M)そういえば、日本で「き◯がい」っていうといまや差別用語だが、英語の対約のCRAZYは熱狂的でポジティブ感じ、あり得ないっていう意味で使われる。昔は日本語の方も同じような解釈で使われていた気がするが、人権意識の中で、今は使わないよね。
N)言葉の使われ方も変化するし、流行り言葉もあるよね。
M)そうそう、一時的に流行ったけど今は全く使われていない言葉を集めて本にしたら面白いと思うんだ。「死語の世界」
N)それ面白いよね。「し」で始まる言葉の対談の時にそれでいこう!
M)流行り言葉だけじゃなくて、さっきのように人権意識の高まりから使われなくなった言葉もあるなあ。使っていい言葉とそうじゃない言葉も場の空気によって変化するよね。
N)紀南の人は敬語をあまり使わないっていうけど、僕らは紀州田辺で育ったせいか、上下関係というか、目上に対する尊敬語って普段使わなかったね。
M)今思うと、目線がフラットなのと、自由な空気の中で育ててもらった気がするな。
N)そうそう。権威主義的なのを嫌う空気もあったのかもしれない。
M)世間で話題のセクハラやパワハラなど、人々の人権意識の高まりからか、悪を許さない空気がある。
「長いものに巻かれないぞ!」って空気が広がりつつある。ってことで、まとめになるかな?
N)十分なるね!(←長いものに巻かれたわけではないですよ)
多屋 光孫(たや みつひろ)絵本作家・挿絵画家。和歌山県田辺市出身。3歳より田辺市の洋画家、故益山英吾氏の洋画研究所で絵を学ぶ。実家は本屋(南方熊楠ゆかりの多屋孫書店)。2015年8月まで二十ん年、普通に会社員(海外営業・広告宣伝など)をやっていたが脱サラし画家活動を開始。一般社団法人 日本出版美術家連盟理事(事務局長)
濱中 伸幸(はまなか のぶゆき) ブランドクリエイター。和歌山県田辺市出身。実家は紳士服店。元百貨店婦人服バイヤー。2011年株式会社ハッピーアイ設立。エンカラージオンラインショップ企画運営。ファッション専門学校非常勤講師
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