「てきとう」についてのダイアローグ

対談

多屋光孫 M)今日は「つ」多屋光孫M)今日は「て」H A N D 次の一手

濱中伸幸 N)決まり手

M)得意技

N)適当、適切

M)適当な打ち手を打つことが良くある(笑)

N)適当すぎると、それはそれで叱られる。みんなの基準に合わせたことをするのがこの国の行動規範。でも見知らぬ土地では羽目を外す人が多いのも事実。

M)旅の恥はかき捨てやね。

N)だから、真面目すぎず、かといって羽目を外すわけでもなく、そのあいだの感覚で適当にやるのが良いと思うんだけど。

M)適当には適切にと言うニュアンスもあると思う。程よい感じ。
料理なんかは、レシピを見ないで適当な分量をぶち込んでしまうと不味くなるよね。


N)まさに、YouTuberのレシピ通り作ると美味しいチャーハンできた。

M)小さじ1は小さじ1測った方がいい。スプーンで適当に測っちゃうとダメだね。
毎年クリスマスにキノコのスープを作るのだけど、有名シェフのレシピ通りに作ると本当にホテルの味になる。
あと、きのこっていろんな種類のものを3種類くらい入れると相乗効果で劇的に旨くなる。

N)我が家も、舞茸、椎茸、エノキ、しめじ、、、色々なキノコを必ず鍋に入れる。

M)まあ、レシピにも適量って書いてあるものと、ちゃんと分量を示しているものがあるから、外してはいけないポイントと適当にやって構わない領域があるんだろう。

N)適の言葉には、かなう、ふさわしい、という意味があるから、防火カーテンに丸適マークがついていたりするよね。
基準を満たしている合格のマーク。
最近は結婚相談所にも丸適マークがあるらしい。

M)適当でいえば、レオマワールドって覚えてる?

N)香川県にあったね。

M)施設を作ったのは大西さん。「レジャーは、大西に、任せろ!」から、レオマという名前になったらしい。

N)えっ、それ初めて聞いた。

M)大西さんは、遊園地やレジャー施設に関して思い入れがあったわけではなく、広い敷地に適当に遊具をたくさん詰め込めば、人は勝手にやってくると思ったらしい。
だから大コケした。

N)ネット検索したら、ニューレオマワールドで再建してる!

M)えっ、まだ懲りてないの。

N)いろんな会社が資本を出して再建したみたい。

M)和歌山県が誇る南紀白浜アドベンチャーワールドも、できた当初はワールドサファリという名前で苦戦してたね。

N)それでいうならU S Jも最初は苦戦してた。集客って難しいよね。

M)名前で言えば、このブログから生まれた好き勝手Tシャツが、もし適当Tシャツってネーミングだったら売れるかな?


N)適当って言葉には買いたい気持ちを惹きつける力が無いよね。
好き勝手には、好きという心地良い言葉と、ちょっとやんちゃな勝手という言葉の連なりだから、企画名としては魅力あるよ。

M)「あいつ勝手なことしやがって」(笑)

N)「ちょっと勝手します」ってお茶目に言いながら、誰よりも早く帰る。

M)勝手は勝つ手やから、ポジティブ要素もある。
けれども勝ち負けで言うと、負けるが勝ちと言うくらい控えめな態度が喜ばれる場面も多い。
奥ゆかしいって言えば、格好いいけど、、、勝手は許さんって感じかな。

N)「自分勝手」とは言うけど、「相手勝手」とは言わない。

M)「相手勝手」ってなんていいやつなんだ。

N)自分勝手という言葉を批判的な言葉として使っているこの国は、自由に生きることに対して一定の制限がかかった状態で生きているのかもしれない。

M)それが美徳なのか?

N)和を持って尊しとなす。自分勝手はダメです。あわせましょう!
 そういう空気があるね。
 少しくらい好き勝手に生きてもいいじゃないと思うなあ。

M)そうなりつつある感じはする。個の時代。

N)全体最適とか個よりもまだまだ組織が重要視されていると思うけど、、、

M)その考えも少しづつ薄れてきているように思う。政治や芸能などのニュースでも大きな組織が崩れている感がある。世の中変わっていく予感。
今日は勝手じゃなくて「て」だった。

N)勝手の手で韻を踏んでるよ。

M)手で言えば、最近「手数」が増えてきた。手数が増えすぎて、抱えきれないくらい撒き散らしてる。


N)会社員は勤めている会社からしか給与がもらえないけど、みっちゃんの場合は、手数を打てば、いろんなところから対価が貰える。

M)そうね。会社員時代はいわば短期的な利益追求のための行動が求められて、結果を出すことが全てと言っても良いくらい。でも個人の場合は、一生の仕事として色々な人と関わり、短期的には対価が得られなくても、中長期的に大きな実を結ぶ可能性や夢がある。だから、今いろんなところと関わっている。

N)仕事の進め方も、会社は日々の予算や四半期、半期といった目標に対して、追われるようにこなさなければいけない感じがあった。個人の場合は目標設定からペース配分といったものまでコントロールが可能。

M)そう、自分で決めることができるのがいい。結果として上手くいかないこともあるけどね。

N)自分で決めることができる働き方ができれば、その方が自然だよね。

M)良い意味で適当に仕事をする方が新しいものが生まれてくる気がする。
しがらみなく、勝手気ままにアイディアが出せる場所で仕事をする。
締切とか気にせず没頭できればいいよね。

N)作品を生み出すにも、適度に適当に、好き勝手に、自由自在に、さまざまな心の持ちようが大切ってことだね。

M)いい意味で適当が大事!

N)それ適当にまとめたね(笑)


【会話の主】 登場人物

多屋 光孫(たや みつひろ)絵本作家・挿絵画家。和歌山県田辺市出身。3歳より田辺市の洋画家、故益山英吾氏の洋画研究所で絵を学ぶ。実家は本屋(南方熊楠ゆかりの多屋孫書店)。2015年8月まで二十ん年、普通に会社員(海外営業・広告宣伝など)をやっていたが脱サラし画家活動を開始。一般社団法人 日本出版美術家連盟理事(事務局長)

濱中 伸幸(はまなか のぶゆき) ブランドクリエイター。和歌山県田辺市出身。実家は紳士服店。
元百貨店婦人服バイヤー。2011年株式会社ハッピーアイ設立。HAPPYEYEブログ、エンカラージオンラインショップ企画運営。ファッション専門学校非常勤講師

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