「分断」についてのダイアローグ

対談


多屋 光孫 M )アメリカの大統領選挙や神戸県知事選挙など、色々思うことが多いよね。
兵庫県知事選なんかは、斉藤元知事が正しかったというストーリーだけではなくなって、今もメディア間で意見が述べられているね。オールドメディアの新聞、テレビvs S N Sという構造において、白黒はっきりさせたい論調があるけど、この部分に関してはこっちが正しいけど、それ以外は反対側の方がまともなことを言っているといった感じ。


濱中 伸幸 N)0、100は無いってことだよね。

M)この人の言っていることは信用に値するなと思っていた人が、「えっ、こんな発言するの?」って通常時よりもとても偏った意見を述べているのを見たりして、全体感がとてもわかりにくいなあと思う。

N)そうね。僕も自分の考えと全く違う意見が飛び出してきてびっくりしたことが多かった。反対意見を徹底的に叩く空気で番組が構成されているようで違和感を感じた。

M)オールオアナッシングじゃ無いということだね。
ウクライナ、ロシア問題もこれだけ長期にわたって紛争が続くと、ゼレンスキーvsプーチンの対立にも白黒付けにくい問題になっているよね。

N)表面上の戦いに対して、裏の戦いというか僕らが知り得ない情報での戦いがあるような意見を聞いたりすると一概に西側メディアのみの情報が正しいとも思えない。ゼレンスキーを国会に読んでバンザイしたのは今となっては凄く違和感がある。

M)そやなあ。

N)なぜ分断が起こるのかとも関係すると思うのだけど、最近は富める者とそうでない者の格差の開きが拡大しているように思う。
特に東京なんかは、普通のサラリーマンが結婚して家を購入して子供を育てて大学まで行かせることが実現不可能じゃないのって気がする。

M)そうね、今の時代の普通の人のライフスタイルってどうなんだろうね。
僕らは、単純に良い大学、良い会社、定年まで働いて安定した老後を迎えるのが良いという価値観で生きてきた。でも、その道が達成困難になって、もっと色々な道を模索しようとしている気がする。選択定年を募ったりする会社が増えてきて、自分もこのままじゃいけないと転職したりする人が増えている。

N)入った会社で定年まで勤めるのが良いという価値観は崩れ出しているよね。

M)人員削減というリストラが当たり前の時代になってしまったからね。

N)あと、人生100年時代というワードも出てきて、今までの60歳定年が、65歳まで雇用延長という流れもあって、ずっと同じ会社で居続ける人生に疑問を持つ人も増えていると思う。

M)のぶちゃんが会社を辞めて独立したのが14年前、僕が辞めたのが9年前。僕の場合は前職の同僚が個展にやってきては転職しましたとか、辞めたいとかいう人が増えている。
彼らにとっては、40代で独立したことが時代を先取りしているかのように感じているみたい。

N)今となっては良い選択だったと言える。

M)僕の場合は来年10周年になるのだけど、やりたいことの3割くらいしか達成していない。でも10年前の自分は今現在の状況は想像できないと思う。もちろん良い意味でね。だからとっても不思議だよね。

N)継続は力なり。

M)今回の個展もおかげさまで盛況に終わって、今月もまた新しい絵本が出版されるから、一つの山は越えることができた感じ。
個展なんかは今までの最高売上。絵も絵本もTシャツもたくさんの人に買っていただいて本当に感謝しているよ。

N)今回特に、絵のフロアーはもちろんのこと、今月出版される絵本の挿絵のフロアーが評判良かったよね。
価格をつけていない絵も購入の依頼がたくさんあったって聞いて嬉しかった。
この絵本はZ O O M対談でたびたび制作過程を見せてもらっていたからね。
みっちゃんの個展の話になったね。分断をテーマに話をするのって難しいね。

M)でも分断を意識することで、色々な人とのつながりを考える。今回の絵本『こうしてともに生きている』もまさにそうで、どうしたらみんなフラットに生きていけるだとうか?ってね。

N)あっ、まさしく繋がっているね。
分断の話で言えば、インターネットの発展によって、世界中の人が同時接続で情報を共有できる場ができたことは、分断の壁となくす方向にも貢献しているけど、対立を強化する方向にも作用している面があるよね。
もっとみんな互いの価値観を認める意識が出てくると良い方向に向かうと思うけどね。

M)今回トランプが勝利したけど、その前にバイデンやカマラハリスの民主党の人選なんか見ると、3億人いるアメリカで、この中で選ばなければならないの?って思った。おかしく無い?もっと人材いると思うのだけど、不思議。

N)日本のように老人で争う世界。

M)日本の政治家ももっと魅力的な人いないの?って思う。

N)また、話題と変えて申し訳ないけど、インターネットの出現と同じく最近のA I(人工知能)ソフトの出現も相当インパクトがあるよね。
でもまだ大多数の人がその凄さに気づいていない状況。
A Iも先行して扱っている人とそうで無い人の差が大きくなると思う。
平成5年入社の時、そろばんを弾いていたおっちゃん社員の顔がよぎる。

M)絵の世界でもC A N V Aってソフトがあって、自分の作品を9枚くらい食わせれば、自分が描いたように新作を作ってくれるって話を聞いた。
そんなことできるの?って感じだけど、多分できるのだろうね。絵が描けない人も鳥山明風でイラストを描いたりできる時代になったってこと。

N)音楽もSUNOって、キーワードをいくつか打ち込めば作詞作曲してくれるよ。一日数曲だったら無料。

M)すこいね。知っていると知らないの差って大きいけど、新しいテクノロジーの出現は既存の産業を破壊するね。
特にクリエイティブな業界はAIにとって変わることができないなんて最初は言われていたけど、アマチュアレベルの技量だとAIの方が優っている。すごい時代。

N)僕は専門学校で教えていているから、教育も大きく変化する時代が来るなあと思う。A Iにできない領域をどのように教えていくのかは、A Iができることがわかっていないとダメだよね。

M)教育でいうと、知り合いの国語の先生から聞いた話。
最近は夏目漱石や森鴎外などをじっくり読むといった内容がどんどんなくなって、論説的文章というか、ビジネスに直接役に立つと思われる内容が増しているらしい。
要約とかはA Iがもっとも得意とすることだから、今一度考え直すべきだと思うね。
一見無駄に見えることが大切であって、今の社会に役に立たないという仮説から排除っておかしい。
情緒的な感想をお互いに発表し合うような授業こそ必要。 
それこそ心を豊かに相手の想いをも汲み取る良い機会になると思う。

N)分断から格差、ネットの出現からAIの出現と色々と話をしてきたけど、まとめるとどうなる?

M)やはり、多様な価値観を認めあうってことが大切だよね。そのためには自己の理解はもちろん他者の理解も必要。それと物事を多面的に見ることも大切だよね。
あとはテクノロジーの進化、時代の変化を感じ取って対応すること。固定観念を持たないとまでは言わないけど、やわらかく対応できる力を身につけたいね。

N)新しいS U K K I K A T T Eのイラスト唐辛子の視点で世の中を見てみるのもいいかもね。

M)ピリッと辛口でね!


なんか強引やね、、、おしまい(笑)


会話の主】 登場人物

多屋 光孫(たや みつひろ)絵本作家・挿絵画家。和歌山県田辺市出身。3歳より田辺市の洋画家、故益山英吾氏の洋画研究所で絵を学ぶ。実家は本屋(南方熊楠ゆかりの多屋孫書店)。2015年8月まで二十ん年、普通に会社員(海外営業・広告宣伝など)をやっていたが脱サラし画家活動を開始。一般社団法人 日本出版美術家連盟理事(事務局長)

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