「抜きん出る」についてのダイアローグ

対談

多屋光孫 M)今日は「抜きん出る」って言葉でいこうって決めてたよね。

濱中伸幸 N)今日、大谷翔平「51−51」達成したよね。(対談時2024年9月20日)

M)まさしく抜きん出たね。

N)1試合に3ホーマー。最後は点差が開いていたから相手は野手がピッチャーだった。

M)へーそうなんだ。

N)容赦なく特大ホームランだった。

M)容赦せんたろうやね。でも凄いね。

N)ゲームの世界ではキャラクターが強すぎると面白くないけど、それくらい圧倒的なパワーを持っているね。

M)でも、D HだからM V P候補としてはもっと打たないとって言われているみたいやね。

N)でもリハビリ中やからね。

M)昔の漫画の主人公の凄さをリアルに体現しているよね。一平ちゃんの事件の時はどうなるかと思ったけど。

N)ほんと凄いね。


M)抜きん出るで言えば、今回SUKKIKATTE Tシャツを作ったけど、キャラクターがいればもっと抜きん出たのかも。

N)ぐりとぐらみたいな好き勝手ブラザーズとかあっても面白いかもね。

M)先日台湾で「2024CREATIVE EXPO TAIWAN」って開催されてたんだけど、こういうのにSUKKIKATTEブランドとしてキャラクターを出展させるのも面白いかもね。海外進出にもなるしね。

N)今思い出した!小さい頃大好きだった「長くつ下のピッピ」

M)おおう、俺も好きだった。

N)こんなに自由に生きて良いのだって驚いた。めっちゃ力持ちで奔放なキャラクター。

M)小学2年の時、リンドグレーンの本を買ってもらった。文字数が多かったんだけど2日くらいで読み終えて、先生が本当にこれ読んだの?ってびっくりしてたの覚えてる。
それぐらいピッピが好きだった。うちの娘は小学1年生の時に全部読んでた(笑)

N)ピッピのような自由奔放なキャラクターいいよね。

M)痛快やったね。高校の時の留学先で、スエーデン人の友達がいてピッピのテーマの口笛を吹いていて「チョらホップチョーラララら」それ知ってるって言ったら大盛り上がりした。

N)長くつ下のピッピの絵本の後ろの付録で、ピッピとニルソン氏の着せ替え人形の切り抜きがあるの。これをファッション専門学校の生徒に作らせる授業をやったら受けるかなって考えてる。

M)そういう授業って面白いね。キャラクターを作る。キャラクターの服を作る。

N)男の子だと、キャラクターの武器を作るとか、乗り物をつくる。


M)昔、紙を切って「がんばれロボコン」のキャラクターをそれぞれ作ったり、オリジナルのキャラクターを作ったりしたね。

N)作った、作った!雑誌の付録も仮面ライダーのお面を作るとか、紙を山折谷折して切って貼って、途中でできなくて放り出したりして…そんな工作系の遊びをたくさんしてた。今の子はゲームばかりで、そんな姿見ないね。

M)先週、子どもの絵画教室で一緒にタピオカを描いたり、スイーツを描いたりしてたんやけど、途中、とうがらしを描いてみたら、ある子どもが「ぼくは、このとうがらしが欲しい!」って言い出した。そしたら、「わたしは、タピオカ!」、「わたしは、ケーキにする!」とかそれが伝染して、みんなが欲しがりだした。想像力に火がついたのかなあ。自分のキャラクターを見つけたって感じ。

N)描いた絵を切り取る作業も楽しいからね。紙に書かれたとうがらしも切り抜いたらより実物に近いものになるし、漫画のキャラクターも切り抜かれてバッチになったりキーホルダーになったりして身につけたくなるものになる。

M)同じものも見方を変えれば違ったものになるよね。

N)抜きん出るには、人とは違う視点とか思考が大切なんだろうね。
でも大人になるまでそう言う教育を受けてこなかったよね。
学校教育は先生の言うことをちゃんと聞いて、それを答案用紙に書く。いかに正解を回答する力を身につけるかが問われるから、人とは違う意見や回答は排除される。



M)パターン化された授業の中では、自分オリジナルのものを作り上げる感性は磨かれないということだね。

N)教えるってことが知識の伝達で終わってしまっているのだろうね。
新しいことを考えてみようっていう授業は受けたことないよね。

M)会社の中でも、前例があるのかどうか、とかエビデンスがあるのかとか。スポーツの正解でも定石が求められたり。

N)大谷翔平の二刀流だって、最初はどちらかに専念するべきだという意見が大勢だった。

M)そう考えると、自分の世界でももっと新しいことにチャレンジしたくなるよね。自分としても、今までの自分から抜きん出ていきたいなあ。

N)そうそう、僕も会社員時代は人より早く偉くなりたいとか、給料たくさん貰いたいとか、人と比べて抜きん出たい一心だった。辞めて独立して10年以上経った今は、そんなことよりも、自分の提供価値をもっと高めたいという考えに変わってきているよ。まあ、会社を40前半で辞めたこと自体が人がしない事をしたという意味で「抜きん出た」じゃなくて「抜けた」経験はしたことになるね(笑)

M)そうね、「抜けん出た」ってことやね。

N)会社員から絵本作家って、全く違うフィールドに出たってことだけでも凄いことだし、給与所得から成果報酬の世界で生きていること自体が抜きん出た生き方だと思う。それと、多屋光孫作品の根底には楽しさとユーモアに加え、人だけじゃなく生き物全般に対する優しい眼差しがある。多屋光孫らしい視点のユニークさもあるし、パロディ感もある。それらは多屋家が持つ文化から来ていると思うな。

M)我が家はみんな、しゃべりはエスプリが効いてたよね(笑)

N)「鯨を食べたい猫」が好きなのは、猫が鯨を食べたいなんて思う人いない中でそういう視点で構成されているところ。少年が大使を抱く感。体制側じゃなくて少数側、長いものには巻かれるな的なスタンスが良いよね。

M)絵画教室で描いたとうがらしはケーキのそばに書いたんだけど、子どもたちに「このとうがらしは本当はあまいもの大すきなんだ」って説明したら、めっちゃウケてた。

N)そうそう、その感じ!

M)ケーキとかドーナツとか子供に愛される食べ物とは違う唐辛子だって愛されたいっていうメッセージ。
ていうのも、子どものころ握り寿司のワサビが大好きだったのに、大人が気を使ってワサビを取り除いていて、「ああワサビ食べたいなあ」って思った記憶がある(笑)

N)まさに、みっちゃんらしいエピソード。多屋光孫の新作を楽しみにしてます!


【会話の主】 登場人物

多屋 光孫(たや みつひろ)絵本作家・挿絵画家。和歌山県田辺市出身。3歳より田辺市の洋画家、故益山英吾氏の洋画研究所で絵を学ぶ。実家は本屋(南方熊楠ゆかりの多屋孫書店)。2015年8月まで二十ん年、普通に会社員(海外営業・広告宣伝など)をやっていたが脱サラし画家活動を開始。一般社団法人 日本出版美術家連盟理事(事務局長)

濱中 伸幸(はまなか のぶゆき) ブランドクリエイター。和歌山県田辺市出身。実家は紳士服店。
元百貨店婦人服バイヤー。2011年株式会社ハッピーアイ設立。HAPPYEYEブログ、エンカラージオンラインショップ企画運営。

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